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2020年2月24日

法律相談|離婚し、事実婚になることは可能?どんな影響がある?


[目次]

  • お悩み
  • 回答
  • ・子どもの親権者を決める必要がある
    ・財産分与が必要になる
    ・法律婚とは違い、事実婚・内縁の配偶者には相続権がない
    ・配偶者控除・配偶者特別控除を受けることができない


    お悩み


    「様々な事情で離婚を考えています。お聞きしたいことは、離婚後に事実婚、内縁の夫、妻という型にすることは可能でしょうか、ということです。
    それによって考えていかないといけないこと、生じることが分からなくて 質問しました。子どもは高校生です。
    よろしくお願いいたします。

    ゆきんこさん



    回答


    ゆきんこさん、こんにちは。

    ご質問は、法律上離婚はするけれど、その後もパートナーとは同居を続け、事実婚もしくは内縁の夫・妻として生活をした場合、どのような問題があるか知りたい、ということですね。

    離婚をすることによる影響や、法律婚と事実婚・内縁関係との違いをお話しします。

    ●子どもの親権者を決める必要がある

    未成年の子がいる場合、離婚にあたっては子の親権者を決めなければなりません。親権者は実際に子を監護養育し、教育や医療等の重要な事項を決めていくことになります。
    もっとも、ゆきんこさんの場合はパートナーとは同居を続けるようなので、実際はどちらが子の親権者になっても生活の実態は変わらないでしょう。しかし、将来パートナーとの間に何かトラブルが発生し、別々に住むようになった場合には、どちらが子を引き取るかでもめる可能性もありますから、親権者を決める際には将来のことも考えておきましょう。
    ただ、ゆきんこさんのお子さんは既に高校生なので、今後の重要事項の決定では子の意思が尊重されますので、影響は小さいでしょう。

    ●財産分与が必要になる

    そのほか、離婚にあたっては、財産分与・慰謝料・養育費・面会交流・年金分割の割合を決めるのが普通です。
    特に、夫婦が同居中に協力して築いた財産があれば、名義にかかわらずそれを半分ずつに分け、きちんと自分の名義にしておくことも大事です。このようにしておけば、自宅などの重要な財産をパートナーが勝手に売ったりすることもできなくなります。

    ●法律婚とは違い、事実婚・内縁の配偶者には相続権がない

    法律婚とは違い、事実婚・内縁の配偶者には相続権がない
    ところで、法律上の配偶者と事実婚・内縁の配偶者との最も大きな違いは、法律上の配偶者でなくなることにより相続ができなくなるということです。つまり、パートナーが亡くなったとき、法律上の配偶者であればパートナーの財産を相続することができますが、事実婚や内縁の配偶者には相続権がないのです。
    相続権がなくても、遺言書で財産を事実婚・内縁の配偶者に渡すという内容を書いておいてもらえば、「遺贈」としてパートナーが死亡した時に財産の贈与を受けることができますが、支払わなければならない相続税が法律上の配偶者と比べて高くなります。
    また、パートナーが他の人と法律上の婚姻をすれば、その人が相続人になります。たとえ、遺言書により事実婚・内縁の配偶者が遺贈を受けられるとしても、遺贈で受け取ることができる財産は法律上の配偶者の遺留分(必ず受け取ることができる財産の割合)を侵害することができないと決まっているため、財産を全部受け取れるわけではありません。ですから、財産についてはきちんと相談をしておくことが必要です。

    ●配偶者控除・配偶者特別控除を受けることができない

    もう一つ、事実婚や内縁の配偶者は、所得税法で定められている配偶者控除・配偶者特別控除を受けることはできません。ですので、ゆきんこさんかパートナーが配偶者控除・配偶者特別控除が受けられる年収141万円の範囲内で働いているのであれば、離婚後は他方が配偶者控除・配偶者特別控除を受けられなくなり、所得税・住民税の額が増えることになります。

    なお、厚生年金・共済年金等に加入しているパートナーが亡くなった場合、残された配偶者は事実婚・内縁であっても法律婚の配偶者と同様遺族年金を受けられる場合があります。
    しかし、パートナーが亡くなった時に事実婚・内縁の配偶者の他にさらに法律上の配偶者がいる場合には、どちらが遺族年金を受けとることができるかについては、生活の実態によって判断されることになりますので、注意が必要です。

    ・・・・・・
    ゆきんこさんのご質問からはどうして離婚をするのかがわからなかったのですが、法律上は離婚をしつつもパートナーとの関係を維持するいわゆる「ペーパー離婚」をすることで、旧姓に戻り、やっと自分を取り戻したという感想を持つ人もいます。
    それでも、法律上はいろいろ影響がありますので、パートナーときちんと相談をしてくださいね。