カラダ
2018年6月10日

子宮頸がん検診でLSILと言われたら?LSILって何?治るの?

子宮の病気

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「2年前の健康診断で子宮頸がんLSIL(軽度異形成)と出て、12月にコルポスコピー検査を受けて、『特に問題ないので毎年の健康診断のみで問題ない』と言われました。

去年健康診断でLSILが出たのですが、コルポスコピーから1年もたっていなかったため放置。
つい先日、別の婦人科に検査に行ったところ、HPV(ヒトパピローマウィルス)検査からすることになり、検査を受けてきました。結果はまだです。

今回の先生には、なぜすぐに検査しなかったのかと叱られてしまいました。
簡単に説明は受けたのですが、最近、体調不良がすごく続いていて、がん化しているのかもと余計なことを思ってしまい不安です。去年の健康診断から半年たちましたが、がん化が進んでいるのでしょうか?」

30代前半
Kyaramiさん



回答


この回答が掲載される頃には、検査の結果が出ているかと思いますが、担当医からの説明の補足となる部分もあるでしょうし、同じようなケースを経験なさる読者もいらっしゃるでしょう。その参考になればと思います。

●LSILを指摘された半年後にがんになっている可能性

時系列を整理すると
2016年(夏か秋頃?):がん検診で「LSIL」を指摘された
2016年12月:コルポスコピーで「特に問題なし」
2017年(夏か秋頃?):がん検診でまた「LSIL」を指摘された
2018年(3月頃?):精密検査を受けた際、「HPV」検査も受けた
ということですね。

まず、検査した病院でも説明されたと思いますが、LSIL(軽度異形成)というのは、「がん細胞がある」という意味ではありません。「放っておいたらがん細胞に進展するかもしれない、ちょっと変な細胞(異形成)がある」という意味です。

ただし、すべてのLSILが放っておいたらがんになるわけではありません。そうなるのは10~20%くらいで、残りの80~90%くらいは、がんにならず、正常な細胞に戻ります。がん化する場合も、たいていは年単位の時間がかかります。

ですから、LSILを指摘されて半年後にがんになっている可能性はゼロに近いです。

万が一、がん細胞が何個か発見されたとしても、まだ子宮頸部の表面にいるだけですから、簡単な手術で確実に対応できます。この点は安心してください。

この点を理解してもらえれば、最近の体調不良の原因が子宮頸がんである可能性はかなり低いこともわかっていただけるでしょう。

そもそもがんの可能性はかなり低いし、仮にがん細胞が存在しているとしても、まだごく初期の段階で、自覚症状は出現しないからです。言い換えれば、体調不良については、別の原因を探して対応する必要があります。

●成人女性の半分以上がHPV検査で陽性に



さて、HPV検査をしたことが、不安をさらに煽っているかもしれません。

HPVについてはこれまでも何度か回答していますが(たとえば2013年7月)、成人女性の半分以上はこの検査で陽性となります。

★2013年7月配信のお悩み相談

HPVに感染…子宮頸がんの可能性は?

だから、陽性と判定されても特にあわてる必要はありません。逆に、陰性という結果であれば、がんの心配はないと安心できます。 HPV検査とはそのようなものだと理解してください。

●医者が厳しめに対応する、本当の理由

医者に叱られたことも不安の原因かもしれませんね。
医者の立場としては、これまで述べたようなこと(LSILはがんではないということ)を安易に理解して、精密検査を受けないまま何年も放置するような人もたまにいるので、つい厳しめの対応をしてしまうということです。
医者の習性として大目に見てください。

まあ、それでも、検診で「精密検査が必要」と判定されたら、なるべく早く精密検査を受けてくださいね。よろしくお願いします。


★回答:
婦人科・心療内科医。