ココロ
2020年3月11日

仕事がうまくこなせず暗い気持ちが続くのは、まだ抑うつ状態だから?

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ストレス

[目次]

  • お悩み
  • 回答
  • ・うつ病には「うつスパイラル」と呼ばれる悪循環がある
    ・「うつスパイラル」を理解する
    ・抑うつ状態の「考え方」のパターン
    ・「うつスパイラル」から抜け出には?


    お悩み


    「仕事のストレス(人間関係など)から抑うつ状態になり10か月ほど時短勤務にし、先月から通常勤務に復帰しましたが、仕事に行くのもつらいし、朝起きられなくてうまく仕事をこなせず、自己嫌悪の日々です。
    睡眠障害もあると思います。診断はされていませんが、不眠症気味だったり、早く眠れても朝起きられません。周りのみんなはテキパキ明るく仕事をこなしているのに対し、自分は体力もなく、暗い気持ちで、出社もきちんとできない日があるなどして、自分が嫌いになって仕方がありません。
    抑うつ状態は心療内科に行く前よりよくなり、死にたいとか、そういう考えは出てこなくなりましたが、うまく仕事をこなせないし、プライベートもだらだらして自分が嫌いでつらいです。どうすれば良いでしょうか」

    30代前半
    ゆーかりん



    回答


    ゆーかりんさん、こんにちは。
    お仕事上でのストレスから抑うつ状態になられ、時短勤務を経て通常勤務に復帰したものの、朝起きるのも仕事に行くのもつらく感じられて、周囲の人と比べてしまい自己嫌悪を感じる日々なのですね。おつらいですね。

    心療内科での通院で、「死にたい」気持ちがなくなったのは、本当に良かったです。まだ通常勤務に復帰したばかりですから、通常通りに朝起きて、出社するだけでもしんどいことと思います。よく頑張っておられますね。

    不眠症気味、朝起きられない、体力が無いといった状態から、まだまだ抑うつ症状も、自律神経の乱れがある状態も続いていることと思いますから、何をするにも「しんどい」感じがしてしまうことと思います。

    また、「暗い気持ち」「自分が嫌い」という自分を責めてしまうというのも、抑うつ状態の症状から来るものだと思います。

    「うまく仕事がこなせない」のも、恐らく、抑うつの症状から集中力や判断力落ちてしまっているからでしょう。

    つまり、ゆーかりんさんはまだ「闘病中」なのだということを、まずは理解してください。まだ本来のあなたに戻った訳ではなく、「抑うつ状態」が続いているのです。

    上述のように、自分を責めてしまうのも症状の一つですから、ゆーかりんさんが自分を責めてしまうことは仕方のないことですが、まずは「自分はまだ治療中なのだ」ということを思い出して、少し自分に優しい目を向けてあげてください。

    ●うつ病には「うつスパイラル」と呼ばれる悪循環がある

    さて、うつ病や抑うつ状態というと、不安や落ち込み、焦燥感が強いので、まるで「気持ちの問題」かのようにイメージされる方もまだ多いのではないかと思います。

    そんな風に「気持ちの問題」と認識してしまうと、どうにもしようがない、何もできないような感じになってしまうのではないでしょうか。

    けれど、うつ病(抑うつ状態も)というのは、脳の機能がストレスによってダメージを受けてしまって、通常通りに働かなくなってしまっていると考えられています。感情のバランスを保つ脳内物質などの調整がうまくいかなくなってしまうことで、過度に不安になってしまったり、焦りや落ち込みなどが続いてしまうのです。

    そして、うつ病には「うつスパイラル」と呼ばれる悪循環があります。この悪循環が、うつを長引かせてしまう原因となっている可能性もありますので、まずは抑うつ状態の時に、どんなパターンが起きているのかを理解するところから始めていきましょう。

    では、この「うつスパイラル」を理解するために、まず最初に私たちの「気持ち(感情)」と「考え」と「行動」はつながっている、ということを見ていきましょう。

    ★こちらの記事も参考になります↓
    うつ病・うつ状態・抑うつ状態の違い。治すには原因を知ることが大切

    ●「うつスパイラル」を理解する



    あなたがスーパーで知り合いの人と行き合った場面を想像してみましょう。あなたがその人に軽く会釈すると、相手からは何の反応も返って来ませんでした。
    そんな時、どんな反応があなたの中で起こるでしょうか。

    もしかすると、「なぜ、無視されたんだろう?」「嫌われてしまったのかもしれない」といった考えが頭の中に浮かぶかもしれません。すると身体の中に、不安感や恐怖が広がるのを感じるかもしれません。
    すると次にその人をスーパーで見かけた時には、顔を合わせないように逃げるような行動を取ってしまうかもしれません。

    こんな風に、「感情」と「考え」と「行動」は互いに影響を与え、つながっているのです。

    さて、上述の通り、抑うつ状態になると、脳の中でセロトニンという神経伝達物質が上手に伝わらずに、過度に不安になったり、焦ったり、落ち込んだりといった抑うつ気分になります。

    この「抑うつ気分」は、思考に影響を与えて「うつ思考」につながり、「うつ的な行動」を生じさせます。 さらに、「行動によって引き起こされる現実が、さらに「うつ思考」や、様々なマイナスの感情を生じさせて、「うつスパイラル」になっていくのです。

    抑うつ状態の時には、「考え方」に次のようなパターンが生じます。

    ●抑うつ状態の「考え方」のパターン

    (1)自分を過度に責めたり、自分の能力や価値を過度にマイナスに考える

    ゆーかりんさんも、周囲と自分を比べてダメだと感じてしまっていると思いますが、「自分は集中できないし、仕事もできない。ダメな人間だ」と感じてしまいます。

    (2)周囲の人や、自分に起こる出来事をマイナスにとらえる

    例えば、ちゃんと考えたり試してみる前から「どうせうまくいかない」「自分はいつも失敗する」と決め付けてしまったり、周囲の人が自分を責めているに違いない、批判しているに違いないと思い込んでしまいます。

    (3)未来のことをマイナスにとらえる

    このままずっと悪いことが続く、何も変わらない、楽しいことは起こるはずがないと思い込んでしまうのです。

    また、うつ状態の時の「うつ的行動」にも傾向があります。まず第一に関心や意欲が落ちてしまっているので、全体的な活動量が減ってしまいます。だるさが原因となって、家やベッドなどで過ごすことが増えることも、「自分は何もできていない」と自分を責める考え出て来ることにつなががります。

    もう一つ、集中力や判断力が落ちてしまっていることから、「問題を先のばし」してしまうのも「うつ的行動」です。
    また「ちゃんとやらなければいけない」「やり始めたら最後までやらなければならない」といった、真面目な傾向がある方ほど、行動に手をつけられず、問題がたまっていったり、大きくなっていってしまいます。
    さらに、責任感が強い方は「自分一人でなんとかしなければ」とか、「人に助けを求めるのは恥ずかしいことだ」と思ってしまい、周囲に助けを求められなくなってしまいます。