●自分ではなく、「相手中心」の人生になっていないか

ご相談文からもう一つ伝わってきたのは、あなたがひょっとするとこれまでは「相手中心」あるいは「他者中心」の人生を送ってこられたのではないかということです。その「相手」とは、ご両親であったり、いまは旦那さんであるかもしれません。

つまり、「自分がどう感じ、何を求めていて、何をしたいか」ではなく、「相手がどう感じ、何を求め、何をしたいか」によってご自分の人生を決めてしまうところはないでしょうか。そんなことも、ひょっとするとあなたの中の「空っぽな感じ」「虚しい感じ」と関係しているのかもしれません。

ジンジャーさんは、「夫が嫌な顔をする」という理由で働きに出るのを止めてしまわれたのですね。それはやはり「相手中心」の決定ではないでしょうか。

もちろん、結婚する際に専業主婦になって彼のサポートをするということを話し合って決められたのかもしれませんが、長い人生の中では自分の価値観など変化して当然です。どのような家庭を、結婚生活にしたいかは、その時々で二人で話し合いながら、二人にとって最良の人生を作れるよう変えていく必要があると思います。
そして、そうした話し合いをするためには、あなたご自身が、これからどう生きたいのかわかっている必要があると思います。

そんなふうに相手中心の生き方ではなく、自分の中の声、自分の中の真実を見つけることも、ミッドライフクライシスでは大切なことです。

ご相談文からは、旦那さんに対して不満があり、旦那さんに意識が向いてしまっているジンジャーさんの様子が伝わってきましたが、相手を責めることではあなたの虚しさは解決しないでしょう。彼に対する「子どもっぽい」という不満は、もしかするとご自分自身に対する同じ思いの裏返しなのかもしれません。

ミッドライフクライシスは、自分の人生の選択、これからの生き方を見つめ直す貴重なチャンスでもあります。ジンジャーさんがご自分の中の声を見つけ、それを大事にしつつ、旦那さんと新たな人生を創っていけることを願っています。

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★回答：五味 佐和子
臨床心理カウンセラー。国際基督教大学心理学卒業。