お悩み

「また芸能人が不倫をして大きいスキャンダルになりました。私もニュースを見て、本当にひどい！と思いましたが、ふと、なぜ他人のことなのに、多くの人が不倫に関してあーだこーだいうのかが気になりました。許せないとかいろいろなコメントをSNSでよく見かけますが、許せないと言えるのは被害を受けた人（当事者のパートナーとか）だと思いますし。
人はなぜ不倫など芸能人のスキャンダルにあれこれ言ってしまうのでしょうか？教えてください」

回答

美沙さん、こんにちは。
テレビのニュースで、芸能人の不倫などのスキャンダルに、多くの人が強い反応を示すことについて、人はなぜ、芸能人のスキャンダルについて「許せない」などあれこれ言うのだろうかと疑問を持たれたのですね。

つい最近も、おしどり夫婦と思われていた芸能人の不倫が話題を呼んでいますね。こうしたスキャンダルは尽きませんが、数十年前に比べて報道がヒートアップしてきているように感じます。

●メディアは「ウケる話題」をニュースにしている

さて、まず前提として、テレビ番組も雑誌も新聞も、世界に起きているニュースを公平に取り上げているわけではありませんよね。

メディアの多くは、そのニュースを伝えるべきだから伝えているのではなく、「需要がある」つまり「ウケがいい」ニュースを選んで伝えています。

メディアも企業ですから、お金を稼がなければなりません。そのためには、「視聴率が稼げる」ニュース、購買数が上がるニュース、スポンサーを喜ばせるものをニュースにしなければなりません。各メディアは、そのメディアの主な視聴者、購買者のニーズにあったニュースを取り上げているのです。

では、テレビのワイドショーなどの視聴者が、どのようなニュースを身近に感じるかというと、芸能人のニュースです。
その中でも、やはりインパクトがあるのが「おしどり夫婦だと思われていた人の不倫」「清楚でクリーンなイメージで売っていた芸能人のスキャンダル」など、あっと驚き、意外性があるインパクトがあるものが話題を呼ぶのではないかと思います。

●スキャンダルが話題になる裏には「マウンティング心理」が働いている！？

そうしたニュースやスキャンダルが話題になる背景には、まず一つは、私たちの心の中にある力への原動力があります。
哲学者ニーチェに影響を受け、心理学者のアドラーが「力への意志」と名付けたように、私たちの心の中には、自分が周囲の環境の中で力を持ち、優位な立場に立とうとする欲求があります。最近では、「マウントを取ろうとする」なんて表現されますね。

けれど、自分が力を持てないとき、既に成功している人たちを自分より下に引きずり降ろすことで、上に立とうとする心理が働きます。芸能人というのは、テレビに出て注目され、人より目立ち、成功している人たちですよね。

素晴らしい結婚相手がいたり、売れっ子のタレントだったり歌手だったりと、大きなスキャンダルの対象になるのは、最初から壮絶な生い立ちの苦労を背負っている人ではなく、実際のところは分からなくても、外から見ると、成功して幸せそうな芸能人ではないでしょうか。そうした芸能人は、嫉妬の対象にもなります。